『快刀乱筆』

古典に映し詠む世紀末群像


はじめに

 それにしても世の人々は参議院議員って何やってんだろう?と思っているらしい。らしい、というのは、私の後援会の幹部でさえ「馳、本当に忙しいの?」と聞いてくるからである。

 私は時々プロレスラー、大学の客員教授にヘンシンしているが、まぎれもなく本業は参議院議員。永田町と平河町(自民党本部があるところ)と地元石川県を股にかけて会議に出たり演説したり。

 娘の鈴音(りおん)が起きている時間に逢うこともなく、女房の高見恭子さんに「家族を大切にしないとバチがあたるわよ!」ともっともなご意見をされながら、それでも正義と使命感に燃えて日本の明日を見つめている。

 実はそんな私の心のオアシスがこの「快刀乱筆」の原稿を毎週書くことだったのである。

 学生時代に学んだ古典文学全集(小学館)を小脇に、そして片手に新聞を広げて大きな見出しをチェックしながら、「このニュースをこの和歌や俳句のテーマで斬ってみようか」と沈思黙考している時のしあわせよ。この本のダイゴ味は「忙殺される国会議員の魂のオアシス」をのぞき見るところにもあるのである。

 1999年2月

馳 浩


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